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第1章「温泉分析書の読み方」 | |
●温泉分析書の読み方 Q16.脱衣場などに掲示してある「温泉分析書」は「温泉プロフィール」のようなものである。 →答えは○ ここは、温泉成分が○○グラム以上だと○○泉などの数値はあまり紹介していません。 数字の列挙は極力避け、わかりやすい本にしたいと思ったからです。 一方、脱衣場などに掲示してある温泉分析書は、イオン名や「ミリバル」など聞きなれない単位で温泉成分が列挙されているのでわかりにくいです。 そこで、成分表を見なくともその温泉の“プロフィール”がわかる温泉分析書の着眼点をご紹介します ●「泉質別適応症」に注目! 一般的に温泉の「効能」と言われるものは、「適応症」と表現しなければなりません。 温泉分析書には、「一般適応症」と「泉質別適応症」が掲げられていますが、そのうち「泉質別適応症」に注目するのがポイントです。 「一般適応症」とは、泉質名のつく温泉(療養泉)すべてに共通する“効能”で、主に温熱効果によるものですから、極端に言えば自宅のお風呂でも効果があるといってもよいのです。 その点、その温泉独特の“効能”が「泉質別適応症」なので、温泉としての薬理効果が高いものだと言えます。 なお、「単純温泉」の“効能”は「一般適応症」のみです。 ●美肌効果がある温泉を探すには「泉質名」に注目! 適応症の欄に書かれていないのが、「美肌効果」です。 「美肌効果」は療養ではないので適応症と認められておらず、各温泉地の“自称”と言えます。 しかし、科学的には不要な角質をとり“ツルツル肌”をつくる効果や毛穴の汚れをとったりメラニンを分解したりすることによる“美肌効果”が認められています。 「三大美人泉質」は左記の通りです。 「炭酸水素塩泉」「硫酸塩泉」「硫黄泉」 ●美肌効果がある温泉は「pH値」でもわかる! 三大美人泉質の他に美肌効果があるものに「アルカリ性」の温泉があります。 「pH値7.5以上」の温泉がそれにあたります。 一方、酸性の温泉は殺菌効果により皮膚病に効きますが、酸性の場合は泉質名に「酸性泉」とつきますので、「pH値7.5以上には美肌効果あり」と覚えれば簡単です。 そこで、左記を4大美人泉質と呼ぶこともできます。 「(弱)アルカリ性単純温泉」「炭酸水素塩泉」「硫酸塩泉」「硫黄泉」 ●「源泉温度」に注目! 温泉分析書には「泉温」と書かれている場合が多いです。 より熱いお湯でお茶を入れるほどお茶が濃くなるのと同じ原理で、源泉温度が高いほど濃い温泉である可能性が高いです。 逆に源泉温度が低いと肌に優しい温泉である場合が多いです。 源泉温度が低いと加温しないといけない場合が多いのですが、源泉温度が高いより低いほうが適温に調整しやすいというメリットもあります。 ●「浸透圧」に注目! 温泉分析書には「浸透圧」という欄がない場合もありますが、「低張性」「等張性」「高張性」と書かれていれば、それが浸透圧です。 単純に考えると、高張性の方が濃い温泉で、低張性ほど薄いと言ってもよいでしょう。 しかし、これは体の細胞液の濃度を基準にした分類なので、等張性以上の濃度がない温泉が多く、低張性がほとんどですから、低張性が薄いのは、体の細胞液濃度と比較してのことだと思ってください。 浸透圧の意味としては、高張性は温泉の成分が体に浸透しやすく、低張性は水分が体に浸透しやすいと考えればいいです。 このことから、高張性の方が湯あたりしやすいとも言えます。 ●「泉質名に書いてある順番」に注目 泉質名は、「特殊成分」「陽イオン」「陰イオン」の順で書かれています。 そして、陽イオンと陰イオンは含有量の多い順に列挙されています。 基本的には、温泉1kgあたりの溶存物質が1,000mg以上あると、「単純温泉」以外の溶存物質に応じた泉質名がつきます。 そして、陽イオン、陰イオン各々で、「ミリバル」という単位で、「20%」以上含まれる成分が多い順に列挙されます。 また、溶存物質が1,000mgに達しない場合も、硫黄、二酸化炭素、鉄分など「特殊成分」が各々の規定値に達していれば、その含有成分に合わせて泉質名がつきます。 温泉1kg中に2mg以上の硫黄が含まれれば「硫黄泉」、遊離炭酸1,000mg以上なら「二酸化炭素泉」といった具合です。 【例1】カルシウム・ナトリウム・マグネシウム−硫酸塩・炭酸水素塩泉(新潟県赤倉温泉) 陽イオンでは、カルシウム・ナトリウム・マグネシウムの順で濃いということです。 陰イオンは泉質名そのもので、「硫酸塩泉」「炭酸水素塩泉」としての効能があり、そのうち「硫酸塩泉」としての効能がより高いと考えればよいでしょう。 【例2】ナトリウムー塩化物泉(海沿いの温泉地によく見られる泉質) 「塩化物泉」「炭酸水素塩泉」「硫酸塩泉」といった塩類泉の泉質名がつく場合は、「ミリバル」という単位で20%以上含まれる成分が、含有量が多い順で書かれるので、上記のような泉質名だと、食塩成分に特化した泉質と考えてよいです。 【例3】酸性・含硫黄−アルミニウム−硫酸塩・塩化物温泉(群馬県草津温泉) 「二酸化炭素泉」「含鉄泉」「硫黄泉」「酸性泉」「放射能泉」といった「特殊成分」が含まれる場合は、塩類系の泉質名の前に書かれています。 つまり、前に書いてある泉質名はオリジナリティが高いと考えてもよいです。 塩類泉の泉質としては「硫酸塩泉」「塩化物泉」の順で効能が高いと考えればいいです。 それに加え、「酸性泉」「硫黄泉」としての特殊成分の泉質の効能があると考えてください。 【例4】硫黄泉(単純硫黄泉) 硫黄の総量が「硫黄泉」の規定値に達していながら、温泉1kgあたりの溶存物質が1,000mg未満の場合、硫黄成分のみ特化しているという意味で「単純硫黄泉」となります。 |