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第1章「温泉の禁忌症」

●温泉の禁忌症

Q17.温泉には入浴してはいけない症状がある。
   →答えは○


温泉には一般的に「効能」と呼ばれている「適応症」があります。
一方、温泉には入浴してはいけない症状を示した「禁忌症」というものもあります。

下記が温泉の一般的禁忌症です。

「急性疾患」(特に熱がある場合)、「活動性の結核」「悪性腫瘍」「重い心臓疾患」「呼吸不全」「腎不全」「出血性の疾患」「高度の貧血」「その他一般に病勢進行中の疾患」「妊娠中」(特に初期と末期)

これを見てもわかるように、温泉は急性疾患や進行性の疾患にはよくありません。
温泉は「西洋医学的」なものよりは「東洋医学的」なものと思った方がいいでしょう。
西洋医学では、病気になった時、病んだ部分に対する治療をおこないます。
「東洋医学」は予防医学で、部分よりは体の本質的機能を向上させることにより健康体を作ろうとします。

このことから、病気になってから温泉に頼るのでなく、病気にならないために利用すべきでしょう。
また、病気になってしまったら、病院でしっかり治療をし、体力が回復したら温泉を利用すべきです。

特に、「癌にも効く」ともてはやされている温泉がありますが、癌が適応症にある温泉はありませんし、体力を奪うので注意が必要です。
実際に温泉で癌細胞が小さくなったという話を聞きますが、これは、「癌に効く温泉伝説」により心理効果がはたらくことや環境を変えることによる癒し効果によるものと思われます。

このことから、癌等の重大疾患は「温泉の奇跡」に頼るのでなく、ちゃんと病院で治療を受けてから回復のために温泉を利用すべきでしょう。
また、「糖尿病」「高血圧」「動脈硬化」を適応症に持った温泉もありますが、重症の場合は危険がともなうので、むしろ入浴しない方がいいです。

「脳卒中の湯」「心臓の湯」と称される温泉もありますが、これも重症の場合や、発病直後の入浴は避けましょう。

「禁忌症」というものがあるように、温泉では効かない症状があるだけでなく、温泉に入らないほうがいい症状もあることを覚えておきましょう。